年末ごろからハイパー円安が少しずつ解消され、対米ドルも最高で160円前後まで上がりましたが、今は120円台まで数字が戻ってきました。
これは昨年12月、日本銀行が金融緩和政策の一環として長期金利を0,2%→0,5%程度に引き上げたことが一因とされています。長期金利の引き上げは基本的に景気が良い、もしくは上向いているとされており、日本経済の先行きを前向きにとらえた投資家たちが円買いに転じたことで起こっているとされています。
さて、国の経済指標を示すその他の要素として、よくニュースで『消費者物価指数』という言葉を聞きませんか?投資に興味がない人でも、知っておくと少しだけ日本の経済の先行きが理解できるかもしれません。
そこで今日は消費者物価指数(CPI)について、激動のアメリカ経済を元に紹介していきたいと思います。
消費者物価指数(CPI)とは?
消費者物価指数、英語でConsumerPriceIndex(以降CPI)は、我々が普段買っている物やサービスの価格の変動を現わしています。例えばスーパーで買う野菜や肉、生活雑貨や光熱費など、我々の日々の生活に直結するような消費財とサービスの中から、対象となるものを政府が選び、基準となる数値と比べて%で現わします。
ただ、国によってこの基準となる対象のものが違うので、一概に全ての国のCPIが同じように比べられるかというとそうではありません。文化によって消費財サービスの志向は変わり、CPIの扱いも変わるというわけです。
日本とアメリカのCPIの違い
ではどう違うのでしょうか?日本とアメリカを例に見てみましょう。
政府が発表するCPIには、全ての対象商品を計算する総合CPIと、そのうちの一部を除いて計算するコアCPI(日本にはコアコアCPIも存在します)があります。このうち、総合CPIの品目は同じですが、コアCPIに違いがあります。日本のコアCPIは生鮮食品のみ除いて計算されますが、アメリカは生鮮食品に加え、エネルギーサービスに関しても計算から除外します。このように根本的に数値において定義が違う可能性があることをおさえておきましょう。
インフレとCPIの関係性
では、CPIは何のために計算されているのでしょうか?実は皆さんの耳にも聞き馴染みの深い『インフレ』『デフレ』に関連性をもっています。基本的にCPIはプラスで推移していきますが、それに伴って労働者の賃金も徐々に高まっていくというのが健全な経済の状況です。ただ、CPIだけが高水準で推移しているにも関わらず、今回のコロナのような状況やその他の要素で賃金停滞が同時に起こると、『モノの価格は上がるけど給料は上がらない』となって、インフレーションと呼ばれる『モノの価値だけがあがる』状態に陥ります。このように、CPIはインフレ観測の為の重要な要素として計測されています。
アメリカ経済のCPIの推移
ではアメリカ経済はどうでしょうか?2021年12月以降40年ぶりの数値となる7.1%上昇を記録していましたが、昨年12月についに7%を下回りました。ちなみに日本はこの40年一度も4%を上回ったことがないので、いかにアメリカのインフレが異常だったかがわかっていただけると思います。FOMC(日本でいう日銀金融政策決定会合)による利上げ金融政策が功を奏したといえるでしょう。
動画配信サービスDAZNが運営するNFTマーケットプレイス『DAZN Moments』を始めとしたNFTや暗号資産市場も、FOMCの決定やCPIの推移に非常に敏感に反応するといわれています。投資家やセレブなど、資産を多く持っている人たちにとって非常に重要な数値と言えるでしょう。
今後の先行きは?
コロナや干ばつでの食料価格高騰、ロシアのウクライナ侵攻での経済不安定と石油供給不足からくるモノの価格高騰が落ち着きをみせ、それによりモノへの消費からサービスの消費へと消費動態が移行しているので、よっぽどのことが起きない限りCPIは当分停滞か下降を続けるのではないでしょうか。
ただ、労働者不足と失業率は多少の改善は見えるもののまだまだ十分とはいえず、この部分の改善がさらなる経済安定のための鍵といわれています。
おわりに
いかがだったでしょうか?以前のジンバブエドルのような、紙幣が突然紙屑同然になるようなことはおこらないでしょうが、CPIなどの影響や要因を知らずに資産運用をしていると、途端に価値が半分になったり、というのもそう珍しい話ではありません。正しい知識を身に着け、必要量の情報を常に入れ続けるようにしましょう。